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木造鉄骨RC造耐震構造を比較!メリットデメリットと選び方

地震はいつ起こるか予測できないため、住宅の耐震性は非常に重要な要素といえます。
建物を建てる際には、その構造によって地震に対する強さが大きく変わることを理解しておく必要があります。
今回は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つの主要な建築構造について、それぞれの耐震構造の特徴を解説します。
木造の耐震構造
耐力壁で地震の揺れに抵抗する
木造住宅の耐震性は、耐力壁と呼ばれる壁の強度によって大きく左右されます。
耐力壁は、地震の際に建物にかかる水平力を支え、変形を防ぐ重要な役割を担っています。
一般的に、2×4工法や枠組壁工法では、構造用合板を壁面に張り付けることで耐力壁を形成し、地震力に抵抗する仕組みとなっています。
また、在来軸組工法では、柱と梁の接合部を強化したり、筋交いを設置したりすることで耐震性を高めています。
さらに、これらの工法は、適切な設計と施工によって高い耐震性を確保することができます。
加えて、耐力壁の配置やバランスも耐震性能に影響を与えます。
筋交いや構造用合板で耐震性を高める
耐力壁に加え、筋交いや構造用合板といった部材も、木造住宅の耐震性を高める上で重要な役割を果たします。
筋交いは、壁の斜めに配置された木材で、地震による変形を抑制する効果があります。
構造用合板は、複数の木材を接着剤で張り合わせた板状の部材で、壁の剛性を高め地震力に対する抵抗力を向上させます。
これらの部材を適切に配置することで建物の耐震性能を向上させることができます。
特に、近年ではこれらの部材と伝統的な工法を組み合わせた耐震構法も開発されており、高い耐震性能と意匠性を両立した住宅が実現しています。
そのため、新築だけでなく既存の住宅の耐震改修にも有効です。
伝統的工法と新しい技術を組み合わせた耐震構法
古くから伝わる伝統的な木造建築の技術と、現代の高度な耐震技術を融合させた工法も注目されています。
例えば、伝統的な組み木技術を応用し接合部の強度を高めることで、地震に対する抵抗力を向上させる手法が開発されています。
また、最新のコンピュータシミュレーション技術を用いて建物の地震応答を詳細に解析し、最適な耐震補強を行うことで、安全性を確保しつつ、伝統的な美しさを保った住宅を実現することができます。
さらに、地域特有の気候や風土に合わせた耐震構法も開発されており、より効果的な耐震対策が可能となっています。
鉄骨造の耐震構造
柱と梁で建物を支えるラーメン構造が主流
鉄骨造建築では、柱と梁で建物を支えるラーメン構造が主流です。
ラーメン構造は柱と梁が互いに接合され一体となって荷重を支える構造で、地震力に対して高い抵抗性を示します。
特に高層建築では、ラーメン構造が採用されることが多く、その高い耐震性が求められています。
鉄骨の接合部は、高強度ボルトや溶接によってしっかりと接合され地震力による破壊を防ぎます。
また、部材の厚さや形状も耐震性能に大きく影響します。
ブレース構造で地震エネルギーを吸収
ラーメン構造に加え、ブレース構造も鉄骨造建築の耐震性を高める重要な要素です。
ブレースは建物の内外に配置された斜材で、地震による建物の揺れを抑制する役割を果たします。
ブレースは地震エネルギーを吸収し建物の変形を小さくすることで、地震による被害を軽減します。
特に高層建築では、ブレースの配置や形状を最適化することで高い耐震性能を実現しています。
さらに、制震ダンパーなどの装置を併用することで、より効果的な地震対策が可能となります。
高層建築にも対応できる高い耐震性
鉄骨造は、その高い強度と優れた加工性から、高層建築にも対応できる高い耐震性を誇ります。
建物の高さや形状、地盤条件などを考慮した上で、最適な構造設計を行うことで地震に対する安全性を確保することができます。
また、最新の耐震技術を取り入れることで、さらに高い耐震性能を実現できます。
例えば、免震構造や制震構造を採用することで、地震の揺れを大幅に軽減することが可能なのです。
鉄筋コンクリート造の耐震構造
鉄筋とコンクリートの一体構造で高い強度と耐久性を実現
鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートの一体構造によって高い強度と耐久性を両立しています。
鉄筋はコンクリートの引張強度を補強し、コンクリートは鉄筋を保護する役割を果たします。
この一体構造により、地震力に対して高い抵抗性を示します。
また、鉄筋コンクリートは耐久性に優れているため、長期間にわたって建物の安全性を維持することができます。
さらに、適切な設計と施工を行うことで、より高い耐久性を実現することが可能です。
壁式構造とラーメン構造の2種類がある
鉄筋コンクリート造には、壁式構造とラーメン構造の2種類があります。
壁式構造は、厚い壁によって建物を支える構造で地震力に対して高い抵抗性を示します。
ラーメン構造は柱と梁で建物を支える構造で、比較的自由な間取りを実現できます。
どちらの構造を採用するかは、建物の規模や用途によって異なります。
また、壁式構造とラーメン構造を組み合わせた壁ラーメン構造も存在し、それぞれのメリットを活かした設計が可能です。
地震に強いだけでなく火災や風にも強い
鉄筋コンクリート造は、地震に強いだけでなく、火災や風にも強いという特徴があります。
コンクリートは高い耐火性を持ち、火災による延焼を防ぐ効果があります。
また、鉄筋コンクリート造は風圧に対して高い抵抗性を示します。
そのため、地震だけでなく様々な自然災害に対して高い安全性を確保することができます。
一方、コンクリートの重量が建物の重量を増すため、地盤沈下への対策が必要となる場合もあります。
まとめ
今回は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3つの構造における耐震性の特徴について解説しました。
木造は耐力壁や筋交いで揺れに抵抗し、鉄骨造はラーメン構造やブレース構造で高層建築にも対応します。
鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートの一体構造で強度と耐久性を備え、地震だけでなく火災や風にも強い点が特徴です。
それぞれの構造の特性を理解した上で、自分に合った住まいを選ぶことが安心・安全な暮らしにつながるでしょう。